フロイト「不確実な点と批判」１

「…ご承知のように、夢の働きにおいては相反するものが一つになっているという点は、最古の言語の、いわゆる『原始言語の相反的意味の問題』によく似ています。私どものこのような見方は、言語学者R.アーベルにならったものですが（1884年）アーベルはこのように相反する意味をもったことばの助けをかりて、ある人が他の人に意志伝達をしたからといって、その伝達があいまいであったと思いこんではいけない、といっているのです。むしろことばの調子とか身ぶりとかによって、相反する意味のうちのどちらを話し手が伝えようと思っていたかという点は、話の関連のなかですこしも疑いないものになっていたにちがいありません。…