シラーの創作上の助言

シラーはケルナーが自己の創作の才の乏しいのを嘆くのに対してこう答えている。

「君の嘆きの原因はどうやら、君の悟性が君の想像力に対して加えている強制にあるようだ。僕はここでひとつの考えを述べよう、それをひとつの比喩で説明してみよう。悟性が、流れこんでくる諸観念をいわば入口のところですでにあまり厳格に吟味することは、いいことではないし、魂の創造行為にとって不利益なことであるらしいのだ。それだけ切り放して考えれば、ひどくつまらぬ考えもあるし、ひどく大胆な考えもある。しかし、おそらくそういう一つひとつの考えは、その考えに続いて起こってくる別の考えによって重要なものになり、おそらくは全然同じようにとるに足らないように見える別の考えとどうにか結びつくことによって非常に有益な考えになってくるのだ。…悟性は、そういうつまらぬ考えが、別のものと結合した有様を眺めうるにいたるまで、その考えをしっかりと握っているのでなければ、そういうこといっさいを悟性は判断できないはずである。これに反して創造的な頭脳の人間においては、悟性は自分の番兵を入口のところに立たせてはおかない。だからいろいろな考えがわれがちに乱入してくる。そうさせておいてからはじめて、悟性はそういう想念の大群を眺め渡して検査するのだ。…批評家諸君、まあ批評家でも何でも名前は問わないことにするが、諸君は、瞬間的な一時的な想念を恥じるか怖れるかしておられる。ところがそういう想念こそすべての独創的な芸術家に見いだされるものであり、そういう想念が永く続くか短く終わるかが、思考する芸術家を夢みる人間から区別する当のものなのだ。だから諸君が詩人たちの菲才を嘆くのは、それは諸君があまりに早々と非難を加えたり、あまりにも厳格に区分けするからのことなのである」(1788年12月1日付書簡)。

以上、フロイトの「夢判断」から抜粋。

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