タルムードに住まう
…ラビたちが彼らに固執させた法の遵守という生活は、ユダヤ人にとって内面的かつ心情的な根拠から、もっとも価値ある生活に思われた。というのも、この生活こそが彼らがさらされているあらゆる迫害と屈辱のただなかで、彼らに人間の品位とともにそもそも生存の可能性を保証してくれる唯一のものであったからである。長い歳月が宗教組織をタルムードのなかに閉じこめた。そして数世紀にわたって、タルムードのために、そしてタルムードのなかでのみ、ユダヤ人は生きていった。「タルムードはユダヤ民族の基礎財産、生の息吹、魂となった」。タルムードは、多くの世代の人々を故郷にいる気分にさせることができた「家族の歴史」であった。なぜなら、「彼らがこのなかで全面的に活動したからである。タルムードは思想家にとっては思考の材料、詩心を抱くものにとっては清浄な理想像であった。外部の世界、自然と人間、強者の暴力やもろもろの出来事は、それこそ千年以上にわたる時期を通じ、重要ではない偶然であり、たんなる幻影であった。真の現実がタルムードであったからだ」。タルムードは適切にも、ユダヤ人が追放されている期間中、おのれの身のまわりにはりめぐらされた外壁と見なされている。この外壁は、彼らをあらゆる外的な刺激に対し無感覚にさせ、それによって彼らの内的な生命力を守ってくれた。…
以上、ヴェルナー・ゾンバルト著「ユダヤ人の経済生活」より。
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