風姿花伝
世阿弥の「風姿花伝」より
(第五)奥儀讃歎云から。
およそ、能の名望を得る事、品々多し。上手は、目利かずの心に相叶ふ事難し。下手は、目利きの眼に合う事なし。下手にて目利きの眼に叶わぬは、不審あるべからず。上手の、目利かずの心に合わぬ事、これは、目利かずの眼に及ばぬ所なれども、得たる上手にて、工夫あらん為手ならば、また、目利かずの眼にも面白しと見るやうに、能をすべし。この工夫と達者とを極めたらん為手をば、花を極めたるとや申すべき。
シェイクスピアを想起させる。文豪は大衆にも楽しめる劇を書きながら、かつ、ものの分かる知識人をも満足させた。なかなかできることではない。
表面上の分かりやすさに加えて、深淵な意味をも巧みに挿入させる!この絶妙なバランスをつくることに成功している。
世阿弥は、玄人にも素人にも楽しめる作品を工夫せよと説く。
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