ハラリ氏の警告

イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏は2020.3.31の日本経済新聞(朝刊)の寄稿で「コロナ後の世界へ警告」と題して、危機下で進む監視社会について述べている。いまの新型コロナウイルスよりも全体主義的監視の方に重点が置かれている。新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるには二つの方法があると言い、一つは「政府が市民を監視し、ルールを破った人を罰する事」。更にこういう「今、人類史上初めて、テクノロジーを使えば全員を常に監視することが可能になった……実際、いくつかの国の政府は、新型コロナの感染拡大を阻止するために既にこうした新たな監視ツールを活用している」。ここで監視社会の代表格の中国について「中国当局は市民のスマホを細かく監視し、顔認証機能を持つ監視カメラを何億台も配置して情報を収集する。市民には体温や健康状態のチェックとその報告を義務付けることで、新型コロナの感染が疑われる人物をすばやく特定している。それだけではない。その人の行動を追跡し、接触した者も特定している。感染者に近づくと警告を発するアプリも登場した」と説明を加える。監視社会について、その厳密な状況を次のように述べる「…ある政府が体温と心拍数を24時間測定する生体測定機能を搭載した腕時計端末を全国民に常に装着するように求めた、と考えてみてほしい。その政府は測定データを蓄積し、アルゴリズムで分析する。アルゴリズムによって当該人物が何か病気にかかっているかを本人よりも先に識別するだけでなく、どこにいたか、誰と会っていたかまで把握することが可能になる」。確かに、こうなれば感染の連鎖を劇的に封じ込めることができる。だが同時に、このぞっとするような監視システムを正当化する恐れがあると、ハラリ氏は警告する。「緊急事態が終われば、そうした措置は廃止すればよい。だが、残念ながらそうした一時的な措置は、新たな緊急事態の芽が常に潜んでいるため、緊急事態が終わっても続きがちだ」と言う。話が逸れてしまったようだが、次のように続ける。「私たちが直面する第二の重要な選択は、『国家主義的な孤立』と『グローバルな結束』のいずれを選ぶかだ。感染拡大もそれに伴う経済危機もグローバルな問題だ。これを効果的に解決するには、国を超えた協力以外に道はない。ウイルスに打ち勝つには、情報を共有する必要がある」と。しかし現状はといえば、「国際社会は現在、集団的な麻痺状態にあり、誰も責任ある対応を取っていない」と述べる。話を前に戻すとこう言っている「中央集権的な監視と厳しい処罰が市民に有益な指針を守らせる唯一の手段ではない。市民に科学的な根拠や事実を伝え、市民がこうした事実を伝える当局を信頼していれば、政府が徹底した監視体制など築かずとも正しい行動をとれる。市民に十分な情報と知識を持ってもらう方が、監視するだけで、脅威について何も知らせないより、はるかに強力で効果ある対応を期待できる」と信頼の構築が重要であると説く。以上「」は日経からの引用だが、時間がないのでここまで。エイプリル・フール!

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