夜の妄言
時折なんの前触れもなく、妙なことが頭に閃く。それも夜中に!大抵は大したものではなく、もう誰か知っていたり本に書かれてあったりする場合が多いのだが、今回も同じようなものだろう。それは何かというと、意味についてである。閃いたのは、二人で一つの意味を共有することがあるだろうとの着眼である。つまり、一人では意味の半分しかなく、もう一人がもう半分の意味をもっており、二人を合わせることによって、初めて意味がはっきりする。不思議である。一般的な場合、意味は一人の心の中で完結するだろう。だが、特殊なケースがあって、意味の半分しかもっていないときがある。このようなケースでは、いくら意味を追求してもわからない。そもそも意味が欠けているからである。欠けている意味のままでは当然ながら意味それ自体が成立しない。欠けている意味の存在すら意識されない。はっきり言ってしまえば意味がない。奇妙な現象のように思える。本人も納得するに至らない。しかし、もう一人の存在によって、隠された意味が明瞭になる。これは、あたかも一塊の意味が、二人またはそれ以上によって共有されているかのように考えられる。意味の成立条件が二人以上に跨がるのだ。漠然とした発想なので、完全な説明は難しい。二つの無意識と無意識のあいだに距離があるものの、両者に跨った一塊の意味が形成されることがある。このときの意味の現出には両者の存在が不可欠な条件であって、どちらか一方だけならば意味が立ち現れない。心理学的な転移のことかといわれるかも知れないが、どうも違う感じがする。意味の片割れが、もう一人の意味の片割れと結合することによって、初めて意味をつくる。もちろん、意味の片割れの存在は、結合されて意味が明らかになった後に、遡及的に予測されるものである。
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