ふたたび搾取について「機械×人間」

労働力が特殊な商品であることを理解した。現在では、労働に機械(パソコン)がつきものだ。つまり、労働力とは、パソコン(スマートフォンも含む)とそれを操作する人間との和である。もう人間とパソコン(コンピュータ)は一心同体といえよう。労働力とは、「人間×コンピュータ」なのであって、単に生身の人間だけではなくなった。コンピュータは人間の頭脳を拡張したものだから、少なくとも昔よりは、情報処理が効率的になったのである。時間にすると以前は一週間かかっていた仕事が、数時間で済ますことが可能になった。ここで搾取の問題が表出する。おなじ仕事が早く終わらせることができたのに、労働時間は変わらない。(これに文句をいう人はあまりいない。文句の対象が、いったいどこにあるのか判然としないからである)。コンピュータという機械の力を借りて、労働力の価値が高まったのにもかかわらず、労働時間は減らされない。どこかで搾取が行われている。必要労働を超えて余剰労働に時間を使っているのだ。最近は、さらに進んでいる。労働力=「AI×ロボット×人間」という複雑な形をとる。爆発的に生産性が向上し、余剰労働も増えるだろう。問題は、労働時間である。搾取の対象になるのは余剰労働時間であるから。資本家は如何に儲けるかを考えるとき、まず労働力の構造が曖昧で、誤魔化し易く、搾取されているという実感が、働くことの神聖さという名目のもとに感づきにくい事実に着目しているように思われる。本来のあり方は、もちろん必要労働がなされた時点で労働時間も終了することだ。労働の搾取と資本の形成は不可分である。安く仕入れて高く売ることが、資本家の原則である。企業は、そのように利益を創出するだろうが、そこで働く人間をも、安く仕入れて高く売ろうとする。労働力も商品として考えれば当然である。生産性を上げて、賃金も上がったとしても、労働時間が変わらないかぎり搾取され続けるだろう。強調したいのは、労働時間に対する、一般的な常識を疑ってみること。また、マルクスのいう支払労働と不払労働の区別に意識的になることである。反対の立場からみれば、儲けたいと望むのなら、労働力の特殊性を利用することになるだろう。最後に「労働力の本質の曖昧さに騙される」というのが普遍的真理だと思う。

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