2022.04.24 15:12「問うこと」2「すべて、問うということは、求めることである。そしてすべて、求めるということは、求められているものの側からあらかじめうけとった指向性をそなえている。問うということは、存在するものを、それが現にあるという事実とそれがしかじかにあるという状態について認識しようと求めることである。認識的に求めることは、問いに向かっているところのものを開発的に規定する作業という意味での『考究』となることがある。要するに、...
2022.04.21 14:55ソラリス的理解されなければ存在になることができない。存在が確認されるとは理解されることである。存在が存在であるための条件はまず理解されることにある。人間の理解能力を超えたものは存在が確認できないのであるから存在しないことになる。興味があるのはこの理解を超越した存在についてである。このような存在と対面する場合とはどのような状況であるのか。それはまだ理解されていないどころか手掛かりすらない。それは眼の前に存在し...
2022.04.19 11:09ウクライナ系「J」ウクライナ系ユダヤ人の一覧を閲覧して驚いた。一般に知られているだけを挙げてみても錚々たるメンバーである。スティーブン・スピルバーグ。レナード・バーンスタイン。セルゲイ・プロコフィエフ。ウラディーミル・ホロヴィッツ。エミール・ギレリス。アイザック・スターン。レフ・トロッキー。ジョージ・ガモフなど尽きることがない。今回(2022.3)のロシア軍のウクライナ侵攻で考えたことのひとつは、ロシアとEU諸国と...
2022.04.16 15:26「時間」時間について調べたい。時間というものを特に考えようとしなくても、時間について通俗的な了解がある。一律に流れて過ぎ去っていくものとしての時間の概念が共有されているように思われる。時間という専門科目はないのにもかかわらず、すでに当然わかっているものとして、安易に語られている。これはまるで空気がありふれているから、という理由により無料で吸うことができるのに似ている。時間は私たちにとって余りに親密すぎて議...
2022.04.09 14:56彼シリーズ「変なホテル」長旅に疲れた彼は、近くにどこか泊まる場を探していた。ちょうど小さな橋を渡ったすぐ近くに、その錆びれた一帯に似合わず不釣り合いに同化した見るからに豪華なホテルがあった。たったいま完成されたような新鮮さがある。彼自身疲労のために希望的な幻想を抱いていた可能性も否定できない。とりあえずここで一晩を明かそうと考えた。だが、どうも先ほどから拭ぎれないものを感じていた。それが何だか判らなかったが、そうか!と突...
2022.04.05 15:09回転木馬自己が自己を見るというのはよく考えれば不思議なことである。ほんとうの正体などだれもわからないからだ。もしわかっているという人がいるならば、その人には驚愕という感情は絶対に起こらない。驚愕するためには少なくとも自己と自己とに不一致がなければならない。またもし自己をほんとうに知っているというのなら希望も失望もないことになるだろう。なぜなら自己を完璧に知っているというのは、常にニュートラルの状態にあるこ...
2022.04.02 13:23裸の家「現存在はだんじて、身体という物体が充たしている空間部分のうちで目のまえに存在しているのではない。実存することで現存在は、そのつどなんらかの活動空間を場として許容してしまっている。現存在はそのつどじぶんに固有なありかたを規定しており、そのけっか現存在は場として許容された空間のほうから、みずからが占めていた『場所』へと立ちかえるのである」ハイデガー「存在と時間」第70節(岩波文庫)