2019.11.26 14:35治療という文化フロイトを読んでいて面白いと思うのは、無意識や症状や夢といった心理的現象が、昼の意識的な思考のように振る舞うという事実である。たとえば症状は、本人にその意味が理解されないでいる。しかし分析の過程で隠された意味について知ると、症状は消滅する。意識上に格上げされた知識が症状を消すというのは、あたかも症状そのものに意味があり、その意味をもった症状が独立した思考を行なっているような印象を与える。症状が「私...
2019.11.24 16:43現在=100年に一度の変革期入手できる情報を多角的に眺めてみるならば、ある判断を下すことができる。とは言っても既に、この判断すらも情報となっているのだが。ただ、実際に長期にわたって詳細に分析することで判断の確かさの強度が違ってくる。ひとつの言葉であっても、それを受け入れる心のありようによって言葉の重みが異なるのと同様。判断とはありきたりなものである。つまり、現在(2019.11.25)は100年に一度の変化の渦中にあるという...
2019.11.22 17:22距離についての若干のアイデア未発見の真理が、無限に点在していると仮定する。ここで真理と人間との距離について考える。なんでこのように考えるかというと、発見されるのを待っている真理は、それを求める人間との距離が近いと予想されるからである。近いものには手が届きやすい。反対に発見の困難な真理は、人間との距離が大きく離れている。こうみると未発見の真理は人間との距離のひらき具合によって分類できるように思える。近い真理と遠い真理とに。真理...
2019.11.19 09:55忌み嫌われる「狡猾さ」。その有用性あまり公には言われないことであるが、また推奨すべきではないことであるのは明らかなもので、生きるうえで大切な要素がある。褒められるべき模範は頻繁に取り上げられるのだが、一般の了解から外れることは真理であっても、隠匿される場合が多い。いったい何を言おうとしているのか。ある種の狡猾さについてである。普通の通念からすれば、狡猾さは毛嫌いされるだろうし、自分とてそんな性質のもつ人を好きになることはない。しか...
2019.11.17 16:17彼シリーズ「21XX年の読書」21XX 年の彼である。洗練された椅子に座って読書をしている。「何だよ!こんな未来になっても読書しなきゃならないのか」「やれやれ、まるで進歩していないじゃないか」とは彼の内心の呟きである。この心の憤懣を察して未来の彼は言った。「いやいや、これは読書ではない。インストールといったほうが正しいよ。これを見なさい」と手にしているタブレットらしきものを差しだして見せてくれる。そこに書かれてあるものは、明ら...
2019.11.15 17:32タルムードに住まう…ラビたちが彼らに固執させた法の遵守という生活は、ユダヤ人にとって内面的かつ心情的な根拠から、もっとも価値ある生活に思われた。というのも、この生活こそが彼らがさらされているあらゆる迫害と屈辱のただなかで、彼らに人間の品位とともにそもそも生存の可能性を保証してくれる唯一のものであったからである。長い歳月が宗教組織をタルムードのなかに閉じこめた。そして数世紀にわたって、タルムードのために、そしてタルム...
2019.11.14 17:54シラーの創作上の助言シラーはケルナーが自己の創作の才の乏しいのを嘆くのに対してこう答えている。「君の嘆きの原因はどうやら、君の悟性が君の想像力に対して加えている強制にあるようだ。僕はここでひとつの考えを述べよう、それをひとつの比喩で説明してみよう。悟性が、流れこんでくる諸観念をいわば入口のところですでにあまり厳格に吟味することは、いいことではないし、魂の創造行為にとって不利益なことであるらしいのだ。それだけ切り放して...
2019.11.13 13:12権威に対する批判の問題一般に、国民が権力に対して批判する場合には、比較的わかりやすく理解のおよぶ範囲に限ってのみ批判する。複雑すぎて分からないような権威の悪事があるとしても、何がどう悪いのかという根本的なことが理解できなくては批判しようがないからだ。率直に言い換えるならば、批判の容易なものだけしか批判できない。批判する対象内容の理解が容易という意味である。反論は無論あるだろうが…。だがこれを考慮すると、権威は批判を黙認...
2019.11.12 14:53日本と日本語と主体性のなさという特性「灯台下暗し」という言葉がある。日本が目指すべき方向は遠くにあるのではなく、身近なところにあるのではないか。日本は稀にみる独特な国である。まず日本語は世界でも日本だけにしかない。外からの輸入品である科学や外国語などはもちろん不可避であり有用であるのは当然認めるものの、日本人がそれらを運用するのであり、根幹は日本語にある。大胆な仮説として日本語こそが日本人たらしめているのではないかと想像する。日本語...
2019.11.11 11:11パターン認識と汎用性パターン化できるものはパターン化した方が効率的である。いたるところでこうしたことが適用できる。マニュアルとはちょっと意味が異なる。マニュアルは硬直した完成品である。1から10までの過程があって、それを毎回繰り返すのであれば、いつも1から物事を進めなくてもよくなる。1から10までの過程をひとつのパターンとして構築する。そうすることで、いつも1に立ち戻る必要がなくなる。「ああこれはあのパターンだな」と...
2019.11.09 16:49経由するものとしての仕事企業にとっても消費者にとっても、いいことは、必要なものを必要なときに必要なだけ利用できること。企業にとっては生産したものが適切に消費されること、在庫がなくなるのが最も理想的である。在庫をつくるために働くのでは働いていることにならない。直接消費者に必要な分を提供するのが優先されるべきだ。労働の成果は顧客にストレートに提供され消費されるようにすることで完結する。仕事は顧客を無視した自己の収入のためにす...
2019.11.08 10:45知っているつもりの言語活動知っているつもりで、全然知られていないものは数え切れないが、その中でも特に注意すべき未知なるものがある。これは分かっているつもりで、言葉として一般に流布されているが、その実体は誰も知らない。私(人間)と心の二つである。「私は云々…」というが、人間すら十分に分かっていないのだから、人間である私という主語は意味不明なものである。どうして私という言葉を使い互いに意味の了解をしているのだか、これまた不明で...